「正論」で人を傷つけないために。伝え方が9割と言われる本当の理由とは?

心のあり方

はじめに

「それ、間違ってるよ」と言われて、あなたはどう感じますか?
内容が正しくても、なぜかモヤモヤしたり、心がざわついたりすることはありませんか?

現代は、SNSでも職場でも「正しさ」が重視される時代。
しかし、その正しさが人を傷つける「刃」になることもあります。

本記事では、「正論」が人の心を傷つけてしまう理由と、伝える際に本当に大切な「伝え方」の力について、心理学的な観点から解説します。

「正しいこと」なのに、なぜ傷つくのか?

「正しい」はずの言葉が、人を遠ざけたり関係を壊したりする理由は、単純です。

  • 相手の気持ちを無視している
  • タイミングが適切でない
  • 自分の優位性を示す意図がある

たとえば、「そんなの常識でしょ」と言われたとき、多くの人は「自分を責められた」と感じます。
どれだけ正しい内容でも、それが「上から目線」や「非難」に聞こえると、受け取る側の心は閉ざされてしまいます。

心理学で見る「正論のダメージ」

心理学には「防衛的認知(defensive cognition)」という概念があります。

これは、自分が批判されたと感じたとき、自動的に相手の話をシャットアウトし、防御的になる心理のことです。

つまり、「正論」をぶつけられると、相手は内容ではなく「自分が責められている」ことに意識が向き、建設的な対話ができなくなってしまうのです。

これが、「正しさ」と「伝わること」の間にある、大きな溝です。

伝え方が9割、本当の意味

有名なベストセラーに『伝え方が9割』という本があります。

これは単なるテクニック本ではありません。
本質は、「相手がどう受け取るか」にすべての焦点を合わせること。

たとえば、同じ内容でも以下のように伝え方で印象は180度変わります:

  • ×「それ、違うよ」
    → ○「その考えもあるけど、こういう見方もできるかもね」
  • ×「どうしてそんなことも知らないの?」
    → ○「一緒に調べてみようか」

「何を言うか」よりも「どう言うか」によって、相手の心は開かれるのです。

正論を届けるには「共感」が必要

相手に伝える前に、まず必要なのは「共感」です。

「この人は自分のことを理解してくれている」と相手が感じて初めて、あなたの言葉は受け入れられます。

心理的安全性がなければ、どれほど正しくても「刺さる言葉」にはなりません。

そのためにも、まずは相手の立場や背景、気持ちを汲む姿勢を持つことが大切です。

すぐに使える、伝え方のコツ

実践的に使える「伝え方の工夫」を3つ紹介します。

  • 1. 「私は」視点で話す
    「あなたは間違ってる」ではなく、「私はこう考えてる」と主語を自分にする。
  • 2. クッション言葉を使う
    「急にごめんね」「ちょっと気になったことがあって…」など、柔らかく前置きする。
  • 3. 相手の意見をいったん肯定する
    「なるほど、そういう考え方もあるね」と受け止めてから自分の意見を添える。

こうした工夫によって、「正しいこと」でも相手の心に届く言葉になります。

まとめ

  • 正論は、相手を思いやらないと「凶器」になる
  • 人は「自分を責められた」と感じると心を閉ざす
  • 伝え方には共感と配慮が欠かせない
  • 主語を「私」にし、柔らかい言葉を選ぼう
  • 正しさより、「関係性」を守る意識が大切

あなたが大切にしている「正しさ」を、もっと伝わる形で届けることができたら──
きっと、あなたの言葉は人を勇気づけ、関係を深める力になるはずです。

他の記事も参考にしながら、「伝える力」を磨いていきましょう。

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