自力しているか? 自律しているか?──「かわいそうな自分」から抜け出す勇気
※本記事は心理的な自己理解を目的とした内容です。精神的な不調や依存に悩まれている場合は、医療・専門機関への相談をおすすめします。

私の知り合いに「毒親育ち」を自称する女性がいます。話を聞くと、確かに理想的な家庭ではなかったようです。でも、事件や著しい貧困があったわけでもありませんでした。

それで、彼女はいまどうしているのですか?家庭環境を理由に生活の改善を先延ばしにしていると聞きましたが…。
彼女は過去を「自分フィルター」で悲劇的に脚色し、現在の問題――依存や浪費、不安定な生活――を家庭環境のせいにしていました。周囲の同情を得ることで一時的に安心感を得ているのです。買い物やギャンブルに依存し、金欠を嘆きながらも行動は変わらない。ここにあるのは「可哀想な自分」で居続ける利得です。
もちろん、過去の傷は誰にでもあります。だが、その傷を理由に「今の自分」を手放していいわけではありません。誰かが手を差し伸べてくれるのは長くは続かないという現実もあります。悩んでいる姿が美しく見えるのは、一瞬に過ぎないのです。

ですから、あえて伝えたい。あなたの人生はあなたのものです。過去に縛られ続ける選択を今日で終わらせてください。
「かわいそうな子ども」から卒業するための視点
「親のせいでこうなった」「仕方がない」と繰り返すうちに、その言葉は自分を正当化するための呪文になります。被害者でいることは短期的には安全に感じられても、長期的には自分の成長を止めてしまいます。

過去を否定するのではなく、過去を理由に行動を止めないことが大事ですね。
そのとおりです。過去の出来事は変えられませんが、今行う選択は変えられます。まずは小さな「できること」を積み重ねてください。家計の見直し、相談窓口に連絡する、日常のルーティンを整える──どれも自分の力を取り戻す第一歩になります。
自立と自律は似て非なるもの

「自立」は他人の助けを受けずに生活できること。しかし大切なのはその先にある「自律」です。
自律とは、自分の感情や衝動を自分で扱い、意思を持って行動できる力です。外からの承認を求めるのではなく、自分で自分を慰め、支えることができる状態を指します。

マインドフルネスやセルフトークの技術は、自律を育てる道具になりますか?
はい。例えば、感情が高ぶったときに「つらかったね」と自分に声をかける習慣は、自律を育てます。外に答えを求める代わりに、自分で自分を認める行為は、じわじわと自己効力感を高めます。
「まともな家庭」神話を手放す
多くの人は「まともな家庭があれば」と思いがちですが、実際には完璧な家庭など稀です。どんな家庭にも問題があります。だからこそ「私は特別に不幸だ」というレッテルで自分を固定化するのは無益です。

過去の事情を理解したうえで、今できる現実的な選択を重ねることが重要です。
具体的には、支援窓口の利用、専門家(カウンセラーや医療機関)への相談、家計の専門家と話すなど、外部リソースを上手に使いながら自分の行動を整えていくとよいでしょう。自律は孤立ではなく、適切な支援を受けながら育てるものです。
(関連記事:マインドフルネス入門──今に戻る練習)
まとめ:自律は、人生のハンドルを握り直すこと
- 自立=他人に頼らないこと(生活面の自立)
- 自律=感情を自分で扱う力(心の自立)
- 過去を責め続けても、今は変わらない
- 自分を慰め、いたわる言葉を持とう
- 必要なら専門家や支援を利用して一歩を踏み出す
あなたの過去がどうであれ、今ここから舵を切り直すことは可能です。小さな選択の積み重ねが、やがて確かな自律を育てます。無理せず、一歩ずつ進んでください。
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本記事は個人の体験や心理学的学びの共有です。 効果や感じ方には個人差があります。体調不良や強い不安を感じる場合は、医療機関や専門家にご相談ください。



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