本来の自分に戻るために──自動思考との向き合い方

マインドフルネス

思考と感情は「自動運転」だった

自動思考から抜け出す5つの習慣

「また、やってしまった」

「なんでこんなにイライラするんだろう」

そんな風に、自分の感情や行動に戸惑うことはありませんか?

実はその背景には、「自動思考(オートマチック・シンキング)」と呼ばれる“心のクセ”が関係しています。

自動思考とは?

自動思考とは、過去の経験や価値観がもとになって、無意識に頭の中に浮かんでくる思考のことです。
たとえば、

  • 過去の失敗を何度も思い出してしまう
  • 「またうまくいかない」と未来を悲観してしまう
  • 他人の言葉に過敏に反応してしまう

こうした思考は、意図的に始まったわけではなく、反射的に生まれています。
いわば“脳の自動運転モード”です。

あるあるな「自動思考」の例

  • 上司のひと言に傷ついて1日中引きずる
  • SNSのいいね数が気になって、気分が沈む
  • 誰かの笑顔を見て「自分をバカにしてる?」と被害妄想が出る

こうした反応は、自分で選んだものではなく、過去の記憶や思い込みが引き金になっているだけです。

自動思考は「幻」を再生している

自動思考は、たいてい「過去」や「未来」にとらわれています。

  • 後悔 → 過去の幻
  • 不安 → 未来の幻

今この瞬間には、何も起きていないのに、頭の中では“起きてほしくない出来事”が再生され続ける。
そして私たちは、それに合わせて感情を動かされてしまうのです。

感情に気づければ、選べるようになる

「自分は今、自動操縦に入っているな」と気づけたとき、感情と行動の間に“選択肢”が生まれます。

これは心理学でいう「メタ認知」の力。
つまり、自分の内面を一歩引いて見つめる視点です。

たとえばイライラしたとき、「今、自分は怒っている」と言語化できると、感情の嵐から抜け出す準備が整います。

自動思考を止める5つの習慣(1分でできる)

ここでは、簡単に実践できる「自動思考のリセット法」を5ステップで紹介します。

  1. 動きを止める
    何かに反応しそうになったら、一度その場の動きを止めてみましょう。
  2. 呼吸に意識を向ける
    鼻から吸って、口からゆっくり吐く。 呼吸を深くしようとせず、鼻や唇に空気が通る感覚を追いかけるだけでOKです。
  3. 頭の中の声に気づく
    思考が浮かんできたら、「あ、今考えてるな」と観察するだけで構いません。
  4. ラベルをつける
    「これは不安」「これは怒り」など、感情に名前をつけてみましょう。
  5. 呼吸に戻る
    再び呼吸に意識を戻す。何度でもやり直して大丈夫です。

マインドフルネスとは?

この5ステップは、実はマインドフルネスの基本でもあります。
マインドフルネスとは、「今この瞬間」に注意を向けて、判断せずに観察する心のあり方です。

  • 感情の暴走を止めたい
  • ネガティブ思考を切り替えたい
  • 冷静な自分を取り戻したい

そんなとき、マインドフルネスはとても有効です。

実際に、マインドフルネス瞑想を週に数回実践している人は、ストレス耐性・睡眠の質・集中力が向上するという研究報告もあります(JAMA Internal Medicine, 2014)。

習慣化するには?

自動思考は完全にはなくせません。
でも、「気づいて止める」という練習を続けることで、感情のコントロール力は確実に育ちます。

  • 朝の支度中に深呼吸
  • 通勤中に「今どんな気分?」と問いかける
  • 人間関係に疲れたときにラベリングしてみる

こうした1日数分の習慣が、心の安定を支える土台になります。

まとめ:気づけるだけで、もう違う

  • 自動思考は「反射的な心のクセ」
  • 感情に飲まれるのは、あなたのせいではない
  • でも、そこから抜け出すことはできる

心が乱れたときほど、「気づいて、戻る」。
この練習を重ねることが、あなた自身を守る力になります。

自分を責めないことが第一歩

自動思考に気づいたとき、「またこんなこと考えてる」と自分を責めてしまう人もいます。
でもそれでは、せっかくの気づきが「自己否定」に変わってしまいます。

大切なのは、「ああ、また出てきたな」と穏やかに見つめること。

自動思考は、あなたを守るために身につけたパターンであって、決して悪者ではありません。

それに気づけた自分を、まずは褒めてあげましょう。

「私は今、自分の心の動きを観察できている」
それだけでも、立派な進歩です。

自動思考から解放されたあなたが、本来のあなたかもしれません。

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